ジャーナリストのパソコンノートブック
(61)曲り角に来た,アジア観光旅行

「貧乏旅行も楽しいが…….」

  先日女友達数人とアジア等発展途上国を旅行する時どの様にしたら,物売りや客引きにしつこく付きまとわれずに,スリや詐欺に狙われずに,自由に町中を見て歩けるかと検討した結果,汚い格好をした欧米人のバックパッカーの青年と一緒に行く事だと云う結論がでた。私達女性はは若い頃から一緒に,叉は各自で東南アジア等を旅行してきた。ブランド物の買物は一度もした事はないが,日本人旅行者を標的にした物売りや客引きがが年々巧妙化し,旅の楽しみを半減させる。素足にサンダル,半ズボン,Tシャツ,肩から古い革製のショルダーバッグ,叉はバックパックを背負ううすぎたない欧米人の若者には,スリや物売りは付きまとわない。米国人と離婚した友人の20歳のハーフの息子さんに,旅費は払うから,無精髭を生やしてボディーガードとして私達に付いて着てと頼んだぐらいだ。イタリアで聞いた話では,ヒッピーの様な汚い格好をした日本人青年でも,スリに狙われると云う,いくら汚くとも,日本人は日本人,金を持っているからと云う。私の友人(雑誌社勤務)は米国人と結婚した,二人とも数カ月の休みをとってアジア途上国を新婚旅行した。汚い服装にリュックといういでたちで,物売りやスリに狙われなかったが,若者が泊まるユースホステルや木賃宿で酷い目に遇ったと云う。その内二人とも陰部が痒くなり,赤い湿疹も出来ている,どちらかが性病を持っているのではないかと疑い始め,険悪な雰囲気になった。米国に戻り調べた結果,二人とも毛ダニにやられていた。その虫は陰毛や肌の下に住み付くので,性病とされている,安宿の寝具等から移る事が多いという。お陰で,その後1ヵ月医者から夫婦生活は禁じられたと云う。このダニは普通の洗剤では死なず,乾燥機で熱で煙りが出る位カラカラに乾かさないと死なないと云う。

「スリランカ人は日本人旅行客を眠らせない」  

   以前モルディブのクラブ・メッド(地中海クラブ)に女友人と出掛けた時はひどかった。スリランカの首都コロンボに夜中到着,翌朝モルディブ首都マ-レ-島行きの飛行機に乗る予定だった。スリランカは最終目的地でない,飛行機の乗換え地である。しかし,コロンボに夜中11時に到着して,翌朝10 時に出発するまでの11時間を日本人旅行客を眠らせないで外貨を稼ごうとするのがスリランカ人の強欲さの被害にあった。当時日本からの飛行便は週一回しかなかった,待ちに待った日本人観光客の到来である。まず空港で荷物のターンテーブルに出てきたスーツケースを持ち上げようとしたら,ポーターのような男が勝手に運び出す,私は猛烈に抗議して,自分の荷物を取戻した(イタリアでは平気で日本人の荷物を持ち去る泥棒がいる,日本人の中にはスーツケースに現金や貴重品を入れておく人が多い為だ)。人の良いA子は,勝手に持出され,入国の税関チェックの所まで運んでいかれ,そこでチップを要求された。彼女は100円玉を渡したら,彼は500円玉を見せ,これと同じチップをくれと要求した。そして彼女は荷物を検査台に上げようとすると,このポーターは勝手に持上げた。そこで新たにチップを500円要求した。荷物検査が終わり,彼女は鍵をかけ,スーツケースを降ろそうとするとこのポーターが勝手に荷物を運び出し,まだ行き先も告げてないのに,空港中荷物を引きずり回わしている。A子は必死になって追いかけている。新たに荷物を台から降ろすチップ500円とバスまで運ぶチップで合計1000円要求された。空港内だけで輪の付いたスーツケースを勝手に運ばれて合計2000円分取られたのである。次に少し遅れてB子が荷物を持って出てきた。A子からチップを上手く稼いだのを見て,B子の荷物に数十人の男達が殺到した,そしてお互いに凄い殴り合いを始め,血だらけになった。やっとホテルが用意したバスに乗り,早く横になりたいと思っていたところ。バスの運転手が自分の友人がおいしいパンを作っているから,そこに立ち寄りスナックを食べるようにと勝手に変な場所に連れていかれた。ぱさぱさのパンは喉に通らなかった。ホテルはリゾート風の素晴しい設備である,ここでゆっくりしたかった。シャワーを浴びて寝たのは2時である。しかし,5時にモーニング・コールがあり,空港に行く時間だと起された。寝ぼけていると,スリランカの宝石ルビー装飾品の製造工場の2階のショールームに連れていかれ,2時間そこに閉じ込めら,宝石を買う事を強要された。乗り換え飛行機は10時なのに朝食も無しに5時間もスリランカ人の都合で連れ回されたのである。目的地に着いてないのに,朝6時にお土産なんて買う気にならない,誰も買わないのでいると,人の良いA子はイヤーリングを買った,そのリングは空港に付くまでに壊れてしまったのである。スリランカ空港で日本人観光客から金をむしり取るやり方はますます巧妙化しているようだ。先日ネット上で日本人青年が憤慨していた,モルディブからの帰り,乗換えでコロンボ空港に立ち寄った日本男性は,空港内のトイレに入ったら,空港職員の格好をした男性2人にこのトイレは壊れているので,このトイレを使うように指定された。出てきたら,トイレット・ペーパー代5ドル(500円)を請求された。1ドルしかないと渡したが凄まれたという。バブル時代にチップだと札ビラをきった日本人旅行者の伝説がまだ広く信じられている。私は東南アジアに行く時は,日本人観光客を狙った物売りや客引きの凄さに懲りてクラブ・メッド(地中海クラブ)を利用している,一旦バカンス村に入ってしまえば,お金は一切必要無い。以前マニラで昼食や夜食に出掛けようとして,ホテルの前でタクシー運転手同士がお客の奪い合いで殴り合いになったり,良いレストランを紹介すると勝手ガイドの一群に付きまとわれ,途中でホテルに戻った事があった。ホテルの周辺も歩けない。クラブ・メッドはフランスの会社であるので料理が美味しい,寿司でも,世界中の料理が朝,昼,晩と容易されており,ワインもビールも飲放題。食事に出かける度にタクシーの運転手の殴り合いを見なくて済む。クラブ・メッドのバリ島などでは,ケチャダンス,ガムランの演奏などの外のお祭り,芸術村,ジャングル・クルーズなどホテルの車で外出できる。海岸もホテルの私用地なので物売りやミチャミ!ミチャミ!と近付いてきて,勝手にコーン・ノット(細かい三つ編み)を編むミチャミ・婆婆に1万円請求されることもない。 

「日本人旅行者はお土産物屋に軟禁」

  クラブ・メッドのモルディブ島に滞在している間は良かったが,特に珊瑚礁の彼方に真っ赤な夕日が沈む時間帯に,ホテル側がモーツアルトのフルート交響曲を無人の海岸に流してくれ,冷たいワインと共に今まで一番充実した旅行であった。。舟で首都のマ-レ-に観光するする催しで,日本人が狙われている事が分り愕然とした。マ-レ-に着くなり,日本人観光客と欧米の観光客と分けられ,日本人だけはお土産店の2階に連れ込まれ,軟禁された,椰子の実や貝殻などのお土産の説明を受け,外の観光に出られない。私達3人は猛烈に抗議して,階段に付けられた鍵を開けさせ,外に出た。回教の寺院,魚市場など島を一周して回った。島から一緒に来たフランス人やドイツ人などの観光客は何の制約も受けず自由に歩き回っている。日本人だけが差別され,土産に金を落すように仕向けられている。かっての日本の旅行者は,名所を背景に記念写真を撮る事と,お土産を買い集める事にのみ時間を割いている人達が多かった。昔は海外旅行が珍しかった為か,出かける前にお餞別を貰ったりする。日本人旅行者の中には貰ったお餞別額順にお土産リストを作り,血眼になって買い集めている人々がいる。観光はそっちのけで,土産を買い集める為にだけ来ている様に見えた。そこを見透かしたように現地のガイドは,「この先お土産を買う為に立ち寄る店はありません,お土産はここで買って下さい」とそそのかす。欧米人は日本人の観光客を「レミング」(旅ねずみ)という,モルモットの様なネズミだが列を作って,前のネズミの尻尾だけを見て行進する。観光ガイドの旗に従って,盲目的に歩く日本人観光客が似ているからであろう。バブル時代日本人の旅行客がパリ,ローマ,香港でグッチやルイ・ビットン等の店に群がった。観光バスが日本人女性旅行者を店に運んできて,彼らが去った後はまるでバッタの大軍に襲われた後の様に何も残っていなかった。店の在庫から,壁やウィンドー装飾用の商品まで剥がして買っていったという。香港のグッチの店では朝6時から日本人女性観光客が列を作り,8時から50人ずつ店内に招き入れられた。群集心理に煽られ,グッチやビトンとブランド名が付いていればなんでも買っていく。日本人観光客に対してその時代のイメージが残っているので,お土産やの2階に閉じ込めて買わせようとするのであろう。香港のホテルで,日本の長唄のお師匠さんに頼られて,ホテルでの両替えを手伝ってあげた。その日のレートで1万円で625HKドルくるはずである。しかし500HKドルしかくれない。ついでに私も1万円両替えすると500HKドルしかくれない。そこで女性キャッシャーを捕まえて,今日の円-HKドルのレートを聞いたら。その日のレートは1HKドルは16円だと云う。1万円で625HKドルでなくてはならないのに,125HKドルもこの女性がネコババしている。彼女は計算間違いだと言い逃れしたが,私達二人に対してして行なっているので,確信犯である。日本の中年女性客は為替に疎い,少しぐらい誤魔化しても分らないだろうネコババしていたのである。香港政府観光局に言い付けちゃうからと脅かしておいた。

「韓国旅行は歴史的認識で疲れる」

    10年前韓国旅行した時も,団体旅行ではないのに,日本の旅行会社とタイアップした現地の旅行ガイドが勝手にバスを用意して,空港で待っていた。驚いた事に,日本人の男性だけの客には,今夜食事をするレストラン,焼き肉までメニューまで注文をとっていた。そしてホテルに着く前お土産店の2階に連れていかれ,閉じ込められた。私達はそこから抜け出して,近所を歩いてみると,同じ品物が隣の店では半分の値段で売られている。つまりソウル市内を見て歩き,観光客が市価を知る前に,お土産店で高い値段で買わせる算段だ。誰も土産を買わなかったら,ガイドは流暢な日本語で,誰か何か買って「私の顔を立てて下さい」と泣き落しにきた。彼女は焼き肉店や土産物店からキックバックを貰っている様だ。私達はガイドに日本人団体旅行者を相手にしたこんな古い旅行システムは商売として成り立たない,止めにしたらとアドバイスした。韓国旅行も疲れる,尊大な日本人と思われないように努力しなければならないからだ。ソウルの学生街で行列のできる店でお昼を取る事にした。親切な学生カップルが美味しいと進めてくれたモツのスープ煮を頼んだが,私達は獣臭さで一口食べ吐き出してしまった。尊大な日本人と思われない為に,店を出てゆく親切なカップルを追い掛けて行き,「慣れてない味で食べられなかった,でも教えてくれて有難う」とペコペコと頭を下げた。私の最初の海外旅行は1972年の韓国旅行である,当時どこの料理店で御飯を食べても,米に石が混じっていて,ジャリ!と歯が欠けたり,凄いショックが走る。それが30年経ってもトラウマになっていて,御飯を食べるのが恐かった。もう一つのトラウマが靴である。最初に食事した店のテーブルの下で,5歳位の男の子が私の靴を触っている,靴磨きかな?と微笑んでみせた。するとこの子供は私の両足の靴を持ち逃げ出した。私も裸足でこの幼い子供を追掛けた。野蛮な日本の女が幼い子供を虐めている様に見え,通行人が非難するような目で私を見て,子供を捕まえてくれない。靴無しでは旅行出来ないので,醜い日本人になっても構わないと,靴を取戻した。それ以来韓国に行く度にテ-ブルの下を見る変なクセがついている。今考えれば,当時韓国では革靴は贅沢品であったかもしれない。民族衣装チマチョゴリの足許には綺麗な色のゴム製の靴が多かった。

「経済格差が暗い気持ちにさせる」

東南アジアを旅行して,自分が中途半端な経済知識を持っている為に,その国の人々の生活を考え,暗い気持ちになってしまう。インドネシアのポロブドール遺跡の近くで水牛の角で作った大きなスプーンを売りに来た老婆に腕をつかまれた。カレー料理に良いと興味を示すと,何十人と云う農村の女性達が集まってきて,4本で千円だ,5本で千円,遂に6本で千円と痩せた手を差し伸べる。観光バスに乗り込んだ妹は,立ち往生している私にこの国のGDPを考えなさいと窓から叫んでいる。それではと6本で千円と云う女性から買ったが,動き出したバスから振り返ると,その女性は他の女達から殴られている。一日中歩いて売れなかった女性の生活はどうなるのだろう?乳飲み子が待っているのではないかと心配になってきてしまう。リゾート地をオフシーズンに訪れた時も最悪であった。急に休みがとれてフィリピンのセブ島に,時間に融通のきく友人と出掛けた。一番大きなマクタン島の人気のない静かなビーチに2泊する予定であったが,台風のシーズンである為か,観光客の姿が見えず,私達だけの様だ,大抵の客はダイビングを目的で訪れると云うが,私達は潜りをする積もりはなく,白い砂浜で寝そべって本を読むだけで十分だ。しかし,ビーチのダイビングショップ,カフェテリア,土産物やが私達がホテルを出るや否や,私達の行動を見張っている。レストランや土産物やに行く気配があれば,客引きがすぐ近付いてくる。まるで「だるまさんが転んだ」のゲーム様だ,私達が少しでも動けば,私達の後ろで島の人達がガサガサと急いで何か準備する,振り返ると彼らはピタッと動きを止め,何もなかったようなふりをする。そのビーチの経済生産活動の全てが,私達の行動に依存しているような気がして,すごいプレッシャーを感じた。とうとう耐え切れなくなって,もっと賑やかなビーチに移った。日本人のダイビング関係者に聞いた話だと日本人観光客はセブ島では凄くぼられると云う。どのダイビング店でも,カラオケ店でも日本人は他の観光客の倍の料金をとられるという。日本人が経営している店でもぼられると云う話だ。

「アジアの観光業者よ! バブル時代の日本人は戻って来ない」  

 海外の旅行関係者は従来の日本人観光客受け入れ手法を変えなければならない。いつまでもバブル時代の日本人を待っていても,そんな馬鹿な人種はもう2度と現れない。コツコツと働いて,溜めたお金で,海外でリフレッシュしようと来る真面目な客ばかりだ。困った現象は最近の日本の若者は海外旅行に行きたがらないという。日本では何でも手に入るので,特に欲しいものがない。ブランド品はブランド会社が日本で直営店を東京ばかりでなく地方都市でも運営している。日本の様に清潔な国に育った若者にとって途上国の衛生状態は許しがたいものらしい。どうしてそんな不衛生な所に行く必要があるのか? 先日関西のお笑い芸人がベトナムで舟の上で麺を食べると云う企画で,料理人が包丁に付いた茹で肉の破片をきれいにするのに,包丁を川の水ですすいでから,野菜を切って麺の上にのせた,もちろん,その上から熱いスープを注ぐので安全であるが。若い芸人はこれを見ただけで2日間全く食事に手が付けられなくなったという,神経質すぎる。衛生状態,スリなどの保安状態等リスクはあるが,若者は現地に出掛け,自分で対処法を学んで欲しい。私もバリ島やフィリピンを観光する時はペットボトルの水の携帯は欠かせない。トイレの後,手を洗った水道の蛇口栓を絞める時も,滅菌ティッシューを使っていたら,旅慣れた日本人の中年男性に「そんなに神経質ではアジアは旅行出来ない」と注意された。旅行の行程も終わり,マニラ空港のバーでもう大丈夫とコーラを頼んだ。大きなグラスに氷を入れたコーラを飲み干した時,愕然とした,残った氷に泥や,わら屑が入っていた。案の定,8時間後東京の自宅に戻った時に脱水症状を起していた。最後の最後まで気が抜けない。  終

   シバタ



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